前職は運送業。建設の知識も経験もゼロ。現場監督という言葉にすらピンと来なかった――そんな状態からこの世界に飛び込んだのが、現在入社2年目の稲毛さん(30代前半)です。
「正直、最初は自分に務まるのか不安しかありませんでした。図面も分からないし、専門用語もチンプンカンプン。電話の受け答えひとつにも緊張していました。でも、『分からないからこそ、素直に聞けるのが今の強みだ』と先輩に言ってもらえて。すごく救われましたね。」
不安を隠さず、人の話に耳を傾け、周囲としっかり向き合う姿勢。それが、稲毛さんの“現場デビュー”を支えた武器となりました。
稲毛さんが最初に気づいた“建設の現場のルール”は、「一人では何も進まない」ということ。段取り、職人との連携、工程の調整……。全てにおいて、周囲とのコミュニケーションが不可欠です。
「わからないからと黙っていると、誰も動けなくなってしまう。だったら、聞いたほうがいい。話したほうがいい。最初は怖かったけど、自分から職人さんに声をかけたり、ちょっとした雑談をしたり、そういうことを心がけました。」
その積み重ねが信頼に変わり、次第に「稲毛くんに聞けば大丈夫」と頼られる存在に。現場がスムーズに進んだときの達成感は、前職では味わえなかった充実感だと言います。
建設業界では、若手の離職率が高く、1年未満で現場を離れる人も少なくありません。そんな中、稲毛さんが続けられた理由は何だったのでしょうか。
「自分でも続けられるか分からなかったです。でも、最初のころに支えてくれた上司や先輩がいてくれたこと。成長をちゃんと見てくれていたこと。それが一番大きかったです。」
現場ごとに学ぶことは尽きませんが、稲毛さんは今、1つの現場を任されるサブ担当として活躍しています。
「覚えることはまだまだあります。でも、今は“できない自分”を恥ずかしいとは思わない。むしろ、現場って“成長を喜べる場所”なんだなと思えるようになりました。」
建設の仕事は、知識や経験だけではなく、「人と関わる力」や「素直さ」が活きる世界。稲毛さんのように、異業種からでもチャレンジできるチャンスがここにはあります。